赤ちゃんの脳の発達を促す

かつては謎の多かった脳神経科学は１９９０年以降急激に進歩して、かなり解明されてきています。それに伴い、乳幼児の成長プロセスやそれに付随する脳の発達についても数々の研究がなされています。
新生児は生まれたときから触覚・聴覚・視覚・味覚・臭覚の五感をほぼ備えており、乳幼児期にさまざまな刺激を受けることによって、神経回路が完成されていきます。

五感への刺激が脳を発達させる

神経回路のネットワーク形成

五感で受けた情報は、神経細胞（ニューロン）によって脳に運ばれ処理されます。神経の中では、情報は電気信号で伝達されています。その神経同士をつなぐ役割を担っているのがシナプスです。新生児では誕生時点で約1000億の神経細胞をもっていますが、まだシナプスの数が少ないので情報をうまく伝達できません。
ところが誕生時に50兆しかなかったシナプスが、3ヶ月後には約1000兆に増えます。情報の伝わる道が増え、その道がさまざまなつながりをもつため、たくさんの情報を処理でき
るようになります。脳の発達は、このように神経回路のネットワークが形成されていくことを言います。

肌への刺激はストレス・ホルモンレベルを下げ、免疫力を高める

肌への刺激は血液中のストレス・ホルモンのレベルを下げるため、免疫システムの機能を向上させます。
ストレス・ホルモン…動物が精神的負担を感じた際に体内に発生する物質。数種類のホルモンの総称。
マッサージは、動物がお互いの身体を舐め合うのと同じ効果を身体に及ぼすといえます。幼い時に身体を舐めてもらえず、抱きしめられず、肌を寄せ合うことも許されなかった動は、成長しても体は痩せていてストレスに弱くなっています。また、仲間同士で喧嘩をしがちで、自分の子を痛めつけたり無視する傾向が強くなります。舐めることは身体組織を刺激し、母子間の絆を作る役割を果たしているのです。

赤ちゃん自身がリラックスの感覚を覚え、ストレスが解消される

ストレスの上手な解消法やリラックス方法を知ることで、赤ちゃんの脳や神経機能はますます向上します。マッサージを受けた未熟児に対する調査では、ベビーマッサージで刺激を受けた赤ちゃんは、刺激を受けなかった赤ちゃんより神経系の発達が早いという研究結果が出ています。

赤ちゃんの運動機能が高まる

皮膚刺激は赤ちゃんの脳の発達を促し、神経系統を良好に発達させます。運動神経が発達すると、多彩は手足の動き ⇒ 敏感さ ⇒ ハイハイ ⇒ 歩く、と成長にしたがった運動機能が充実してきます。また、適切な力や圧力を加えながらのマッサージは、必要な部位の筋肉の発達を促します。

マッサージによるスキンシップは、循環器・消化器・排泄器のみならず神経系・免疫系の成長を促す

成長に遅れのある子供はマッサージを受けることで体重が増え、手足の運動機能の発達が見られるようになります。また、マッサージを受けない子供よりも健康で発育がよく、知能の発達もよいという結果が出ています。

循環器系の発達が促されるので、血行がよくなり栄養が細胞の隅々にまで行き渡る

血流がよくなることで筋肉の緊張がほぐれ、リラックス効果で解毒力や抵抗力がつきます。さらにリンパ系にも働きかけるので、赤ちゃんの免疫力も高まります。

消化機能が高まる

皮膚刺激には消化を促進したり神経を刺激する作用があります。マッサージで全身をくまなく刺激することで胃腸の働きが活発になり、食物の消化吸収率が高まります。消化機能が高まるので、お腹の不快感やガスがなくなり下痢や便秘の解消にも効果があります。

親と子のバーストラウマを癒す

現在は多くの産院で人間本来の自然な出産から遠ざかった、病院や医師によって人為的にコントロールされた分娩がおこなわれています。自然な流れや身体のリズム、本人の意志を無視した出産法の下に生まれた子供たちは、誕生時に大なり小なり心の傷をもってしまうことがあります。それをバーストラウマと言います。
生まれてくる時の記憶は身体や細胞に刻まれていて、セラピー時に緊張や痛みとして出てくるのだそうです。そしてそのことが将来、身体や心に問題をもたらす原因となり得る、という調査結果が出ています。
これまでの研究では、周産期の子宮環境、胎児期の母親の心理的・情緒的環境、出産とその直後のケアのまずさなどがバーストラウマの原因となることがわかっています。
このトラウマは放っておいては決して癒されることはありませんが、生後まもないうちにケアすることで癒すことができ、ベビーマッサージは多大な効果を及ぼします。
母親側がバーストラウマを背負うケースもあります。結果的に自分が望まない方法で出産した場合や生んだ我が子が未熟児であったり、何らかの障害を伴って生まれて来た場合に、母親は自分を責め悔やみ深い傷を負ってしますことがあります。
まずは、周囲が子供の誕生を心から祝福し、母親の労をねぎらい、優しく見守り支えることが一番なのですが、それでも心の奥底に払拭できない後悔を抱えたまま月日を重ねていく母親も少なくありません。
そんな母親達にとっても、ベビーマッサージで子供の身体と心を理解していく行為は意義深く、バーストラウマを解消するためにも有効なスキルです。

親の精神を安定させ、育児の自信が持てる

赤ちゃんの皮膚感覚や表情から我が子の成長を感じたり、子供の性格や性質、心と身体の不調和などを敏感に感じとることができるようになります。
赤ちゃんとの皮膚接触は母親の体内にホルモンを分泌させ、母親の産後の回復や精神的な安定、充足感を導き出すことが科学的にも証明されています。
マッサージを通じて赤ちゃんの気持ちや日々の調子を把握できるようになると、欲求を言葉で表せない赤ちゃんの思いを感じ取れ、細かく見分けられるようになるので余裕をもって対処できます。

親の身体の血液循環を良くして、リラックス効果が向上することで、体調がよくなる

赤ちゃんに対してリラクゼーションを教えるには、母親自身もリラックスした状態でなければなりません。簡単ですぐにリラックスできる方法として紹介されているのが「腹式呼吸」です。深い呼吸は心身のイライラや緊張を解消してくれるので、マッサージ前におこなうことをお勧めします。頭の中のクリアになった気がするので、赤ちゃんに意識を集中させることもできます。
そのリラックス感を手から赤ちゃんに伝えながらマッサージをおこないます。赤ちゃんの身体にオイルをのばし腕を広げるときに母親の腕や胸も一緒に広がり、赤ちゃんだけでなく母親の身体の血液循環もよくなります。
血液の流れがよくなることで体内の毒素や老廃物も流され代謝がよくなるので、結果的に体調もよくなります。

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